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「末期癌のお客様」思い出介護.......まだ、男子のヘルパーは居なかった時代..

[2022.02.09]
 私が初めて訪問介護員になった時は54歳、当時は男子のヘルパーは世間に殆どいなかった。
 あるとき、他事業所ケアマネから電話。男子のヘルパー居ませんか。当時は私サービス担当責任者でしたので直接対応することにしました。
基本情報・・・男性、末期癌で余命いくばくもない。
なんとかトイレには行くが風呂には入れない。
訪問看護を頼んだがどうも気に入らないとのこと。
男性に来てほしいとの事で当事業所(旧)に連絡があった。
 早速訪問・・・奥さんにお逢いして日常の様子を伺う。殆ど寝ている。笑顔が全く無い。癌はうすうす気がついて居るが告知無し。訪問看護で清拭してもらったが1回で拒否があり何とかしてほしい。
 奥様より、「清拭できますか?、頭もベッドで洗えますか?」・・・
 ゴミ袋2枚、新聞紙、洗濯ばさみ、洗面器、バケツ、ジョウロ、やかんにお湯(70℃の熱め)、バスタオル2枚、タオル3枚、などの用意をお願い。
 早速ゴミ袋、新聞紙、洗濯ばさみで洗髪用パットを作りベッド上で髪洗い、体力落ちているので手際が肝心。素早く丁寧に!・・・男同士、どうしてほしいか以心伝心。
 次に身体をバスタオルで保温し清拭開始、おむつ交換も終え冬なのに滴る汗・・・汗・・・汗
 「いや、気持良い」嬉しそうなご主人の笑顔がありました。
奥様「あれ、ベッドが濡れていない」「先日きてくれた2人の看護師さん、専用の頭洗う物持ってきたが、帰った後ベッドの枕付近びっしょりでした」とのこと。
 ご主人「前回は寒くてね、お湯熱くしてと頼んだら身体に悪い」と温い湯で清拭したようです。・・・死にかけている人の希望なのにね?「これからも毎週お願いできますか」・・・奥様も嬉しそう。
 それからは、何時もお部屋開けると本当に嬉しそうに待っていた。「僕はもう駄目かね」「顔色も良いしまだまだ何年も元気ですよ」など、毎回同じような会話しながらの援助。この時期少し元気になり、本当に癌末期と疑ったくらい。
 奥様の心のケアも大切。帰りは介護の苦労話聞いて帰りました。2ヵ月後私は転勤・・・心残りでしたが組織ですからね。
 転勤後1ヶ月位して、相手の事業所ケアマネから電話。「○○さん亡くなりました。本当にありがとうございました」「奥様が転勤場所わからないので是非お礼を言ってほしい」との事で事業所から電話してきたようです。
 介護の仕事、人の死を避けて通れません。・・・悲しいけどね。
 でも自分が出来る精一杯の事したつもりなので悔いはありませんでした。
 ・・合掌・・ 介護の仕事は遣り甲斐のある仕事です。
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